高尾森林ふれあい推進センター協定イベント・森林インストラクター東京会実施
高尾山の寺社林を歩いて四国遍路を体感
~八十八大師・空海像巡り~
2020年11月10日(火)
朝から終日晴天になり、当日キャンセルはなく予定通りのルートを踏破した。途中、蛇滝コースの清明園から元来た道を登り返すところで4人がバスで帰宅したが、全員無事に高尾山一帯に鎮座される八十八大師のご尊顔を拝し、青空に輝く今が盛りの紅葉を楽しむことができた満足のいく旅だった。
修験道の場として古い歴史を持つ高尾山薬王院は、奈良時代に行基菩薩によって開山され、南北朝時代には俊源大徳の祈請により飯縄大権現が勧請され、爾来本尊として奉安されてきた。境内には飯縄権現堂をはじめ、北条氏康ゆかりの浅間大権現を祀る富士浅間社、薬王院大師堂などを擁しており、その長い歴史の中に多彩な表情が窺えるものとなっている。
高尾山の八十八ヶ所巡りは、明治36年(1903年)に第26世御山主・志賀照林大僧正が信徒のために自ら四国八十八ヶ所を巡礼して、札所の土を持ち帰り、山内の各所に納めてお大師を建立したと伝えられている。豊かな自然と相まって、高尾山はミシュランガイドブック三つ星や都内初の日本遺産として評価され、海外からも多くの人々が訪れて老若男女で賑わっている。
集合時間の9時には参加者全員が集まり、準備を整えて9時半前に不動院に赴いた後、清滝傍らにある一番札所の霊山寺から八番熊谷寺までを拝した。その後順路に従い、琵琶滝から二本松、十一丁目茶屋への急登をこなし、薬王院大師堂・天狗社・奥の院、仏舎利塔広場、神変堂、蛸杉、十一丁目茶屋を巡った。十一丁目茶屋前で昼食をとり、蛇滝、清明園へと下り、元来た道を登り返した。その後金毘羅台へ進み、七十六番から八十七番を拝し、一号路をそのまま下り不動院で八十八ヶ所最後の寺、大窪寺の大師像を拝して結願を果たし、午後3時半過ぎに清滝前で解散した。行程約11キロメートル、約6時間を要した長丁場の山歩きであったが、高尾山の持つ地形を活かして四国八十八ヶ所の遍路道に見立てた場所や札所間の距離など興味深く歩くことができた。
例年のように清滝駅前のヒイラギは真っ白な花をいくつも咲かせて芳香を漂わせており、駅の近くではシロミノコムラサキが実を残し、タイワンホトトギスが咲いていた。登山道傍らではツリフネソウの実がはじけそうに熟しており、一週間前に盛りを迎えていたヤクシソウの黄色い花は早くも萎れ始めていた。十一丁目茶屋の前の崖では、トキリマメの赤い鞘から黒い実がはじけ、テイカカズラが長い実をつけていた。高尾山北斜面の広葉樹林の秋色も濃さを増し、季節の移ろいの早さを実感した。
参加者には健脚向きのコースとして、事前に電話等で念を押していたが、八十八ヶ所巡りだけにご高齢の方も多く、アップ・ダウンのある長丁場の山歩きの中で個人の体力や経験の差を目の当たりにした。そういった意味では、あらためて登り坂での休憩をとるタイミングや、野外活動における不測の事態に対しての周到な準備の大切さを感じた一日だった。
一般参加者: 47名
班長: 丹野修(主幹事)、福田正男(副幹事)、藤岡眞、小川里花、飯塚義則、横井行男
アシスト: 浅井記子、古谷一祐(報告)
開会式
清滝駅前の大師像
薬王院本社・権現堂への階段
仏舎利塔前の大師増
四天王門前の広場
蛇滝コースの登返し
森林ふれあい推進事業「協定イベント」とは、林野庁関東森林管理局長と協定を締結した団体の主催するイベントのことで、自然豊かな高尾山で楽しく自然とふれあうことを主な目的にしています。 平成30年度の協定団体については森林インストラクター東京会(FIT)をはじめ5団体が登録されています。『森林ふれあい推進事業』の年間計画などについては関東森林管理局の該当ページを参照してください。